『子犬』鈴木三重吉

2-23-2018

以前は、かばんに本が入っていないと、出かけられなかった。だって、電車のなかで読むものがないと不安なんだもん。でも最近は、本を持ち歩くことが減った。スマフォにはいっている電子書籍を読んじゃうからなんだ。これだと、本の角が痛む心配がない。それと、青空文庫でいろんなものを読める楽しみもある。これは著作権の切れた作品が読めるサイト。著作権が70年にのびると、青空文庫のものから、かなりのものが読めなくなるかもしれないなと思いつつ、山手線のなかで鈴木三重吉の『子犬』を読んだ。ヨーロピアンな香りのする物語だが、子犬の扱いには、「えーっ!?」と驚かされる。けちなおばさんと女中さんが登場する。こりゃないだろう、犬を穴に落として捨て犬とするなんて。見えない穴の底にいる犬たちのバトルの様子が書かれる。ところどころ、いいところがいっぱいなのに、ラストにまた「えーっ!?」となる。電車のなかで、小さい驚きを味わう。大崎と品川の間は車両がとくにガタガタ揺れて、つり革をつかむ(あんまりつり革を頼らずに乗っていようと、いつもこころみているのだ、意味もなく)。あー、読むのって、この異空感覚がたまらんのよね。あたりまえながら。