2010年3月23日

       

   ータマラ・ド・レンピッカー
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渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「美しき挑発 レンピッカ展」を見る。
 
はじめて、実物をみることができた。それも、年代を追って、たくさん。
1920
年代後半から1930年代前半にかけての自信にみちみちた、油ののった時代の絵がもちろんすばらしいのだが、第二次大戦のころから始まる苦悩の時代の絵が、またすばらしい。いちど絶頂期を味わってしまったゆえの凋落の苦しみがにじみでてもいる。涙を流す年取った修道女を描いた一枚(「修道院長」)は、レンピッカらしい大胆な面の意識に、筆致の細やかさが加わり、静かで内省的な一枚。
中年期、アメリカでの田舎暮らしを題材にした一連の絵、試行錯誤の中で、表現を失いかけている絵、抽象にチャレンジしてもいたり、そして、再評価されてパリで再びかつてのアール・デコ的スタイルで制作を始める晩年。
一人の画家が、こんなにも、タフにしかし、繊細に、しかもふたつの大戦を経ることで、こんなに時代に翻弄されて生きたのか。
 
絵の一点一点の重みとともに、その人生の変遷も同時に見ることができ、とてもいい展覧会だった。
会期中、また見たい。
 
5
9日まで。おすすめ度☆☆☆☆☆(満点は☆5つです)